大麦は小麦と並んで、世界で最も古い作物の一つです。
約一万年前の昔から、現在のイラクのあたり、メソポタミア文明が栄えた地域で栽培されていました。
17万年前にアフリカのエチオピアから始まったといわれる人類が、中近東、アジアへと広がり、さらにシペリア、アラスカを経て南米までたどり着き、地球上のほぼ大陸全土に広がったのが約一万年前です。
この記事に書いてあること
大麦が作られた歴史
その頃、旧石器時代が終わり、新石器時代が始まりました。シュメール人がメソポタミアにやってきて、この地で農耕と牧畜を始めました。彼らは大麦と小麦を栽培していました。
この麦の生産性がとても高かったために、農耕に専念しなくてもすむ人々が出るようになりました。
要するに食料が豊かにできるようになったため、食べるためだけに生きなくてもよくなっていったのです。神官や職人など農耕に従事にしない人々が出現し、それが文明を生むきっかけとなりました。
古代エジプトでも大麦が主食のパンの原料として使われたことがヒエログリフに描かれています。
エジプトでは紀元前約5000年頃から農耕が始まったと言われています。
大麦と小麦はこの頃から栽培されていたと考えられます。
その後、時を経て、大麦が日本に渡ってきたのは、1800年ほど前、約3世紀頃です。小麦よりも1世紀早く伝わりました。
3世紀ごろといえば、日本では弥生時代の終わり、女王卑弥呼が邪馬台国を治めていた頃です。
中国から朝鮮半島を通って伝わってきたと考えられており、奈良時代には日本でも広く栽培されていたことがわかっています。
近年の大麦への注目度の高まり
大麦の歴史は古く、世界的に広まったものの、パンを主食とする欧州では小麦に主食の座を奪われていくことになります。
大麦はグルテンの含有量が少なく、主食のパンの原料には向かないことが理由です。
欧州での大麦の利用は、もっぱらビールの原料が主体になっていきました。
また、欧州に比べると比較的食用とされているエリアは多いですが、稲の品種改良により米作が普及したことで、メインの食材にもなることはありませんでした。
日本では米の炊飯時に少量混ぜるか、麦茶や菓子・家畜の飼料などで利用されることが一般的になりました。
このように、大麦は食用として使われることも少なかったのですが、近年その栄養価の高さが再認識されるようになり、健康ブームの流れがさらに後押しする形で普及し始めています。
大麦の健康効果は、種子だけではなく葉の部分にも期待することができます。
とくに日本は戦後の食の欧米化によって、以前よりもはるかに食物繊維の摂取量が減少したことが懸念されています。
食物繊維が不足をすると腸内環境が悪くなり、循環器疾患に陥りやすくなることが分かっていますので、生活習慣病が蔓延する現代の日本人の健康にはなくてはならないものなのです。
生活習慣病の予防としても、大麦の葉を原料とした「青汁」が効果的なことが有名になり、現在多くの商品の主原料として利用され始めています。
まとめ
人類の歴史と共に歩んできた大麦は、現代人が抱える健康問題を解決できる効果があると期待されています。
長年人々の食用としては衰退したものの、ここ数年で新たな歴史が始まろうとしていることは興味深いことです。