世界の人々の食生活を支える食品のうちで、その主体となるものを「主食」と呼びます。
そしてほとんどの国で主食とされているのが"穀物"です。
穀物は栄養成分のバランスに優れ、また農作の効率がよく備蓄にも優れているなどの共通した特徴があります。
穀物にはいくつかの種類がありますが、世界で最も生産され食べられているものに世界3大穀物があります。
小麦、米、トウモロコシの3つが世界の3大穀物です。
この記事に書いてあること
小麦
小麦は世界中で最も多く栽培されています。
小麦は皮が非常に固く、胚乳は比較的柔らかく、粒のまま食しても美味しくないため、粉状にして利用されます。
主にパンやパスタに加工され、ヨーロッパ、北アメリカなどで食されています。
世界中の小麦の16%は家畜の飼料用にされています。
米
米は主にアジアで主食として食されており、ヨーロッパなどでは、付け合せの野菜として食されます。
トウモロコシ
トウモロコシは南アメリカ大陸、アメリカ南部、アフリカの一部で、粉にしてから作ったトルティーヤが主食として食されていますが、トウモロコシには必須アミノ酸の一つであるトリプトファンが少ないためにトウモロコシを主食としている地域ではペラグラという病気が蔓延しています。
世界中のトウモロコシのうち、実に64%が家畜用の飼料として使われています。
また、トウモロコシはガソリンの代替エネルギーとしてのエタノールの原料としても使われるようになりました。
3大穀物に次ぐ雑穀
穀物は3大穀物以外にもたくさんの種類があります。
3大穀物に次ぐ穀物としては以下のようなものがあります。
- 大麦
- ヒエ
- アワ
- キビ
- ライ麦
- オート麦(エン麦)
これらは総称して「雑穀」と呼ばれることが多い穀物です。
非常に生命力も高く農産物としても優れた穀物ですが、食味が悪く3大穀物ほどの普及に至らなかった穀物です。
これらに加えて「豆類」も穀物の部類に入り、中国の古代文明などでは豆の農耕によって支えられていましたが、現在では主食ではなく副食として広く普及しています。
現在、世界の先進国は飽食の時代になり、健康を脅かす病気にも変化が起きています。
以前では必要な栄養素が摂取できない「栄養不足」が病気の原因の多くを占めていましたが、現在ではそれとは真逆の「栄養過多」による病気が先進国の人々を脅かします。
その理由は単なる食べ過ぎによるものも原因として考えられますが、主食とする穀物の「精製」によって微量栄養素が排除されている現状も無視できないものです。
穀物の精製によりよる健康被害を防止するために、これら雑穀の価値が世界的に見直されています。
日本でも大麦・ヒエ・アワ・ムギと米を合わせて"五穀"と呼ばれて珍重されてきました。
現代の日本では「白いご飯」は贅沢な食べ物の形容詞にもなっていますが、農耕文明が勃興した当時は五穀は肉食よりもはるかに高級品であり、一部の貴族が特別な日にしか食べられないような貴重な食物だったのです。
その背景には雑穀を含めた穀物の比類ない栄養価の高さがあったのです。
まとめ
人類の生命を支えていると言っても過言ではないほど「穀物」は大切なものです。
健康面に配慮した食生活を考えるとき、まずは主食である穀物の取り入れ方を見直すことが重要です。