大麦はイネ科オオムギ属の越年草です。育つと高さは1メートル程になります。
茎は中空で、節間が長いのが特徴です。イネ科の植物では茎のことを「桿(かん)」と呼びます。
葉は幅広く白緑色をしています。穂は太く円柱形の形をしており、長い芒(のぎ)があります。
根(ね)は通常50cmから70cm位の深さまで伸びます。 乾燥地域では多くの水分を吸収するため根は深く伸び、1mに達するものもあります。
この記事に書いてあること
大麦の種類
大麦は穂の形によって六条大麦・二条大麦に分けられます。
一つの節に3つずつ実が付くのが特徴で、それを上から見ると六条に見えます。これが六条大麦です。
同じように3つ実がついた後、側面の列が実らずに退化してしまうのが二条大麦です。
皮麦は、外側の皮が被って離れにくい種類をいいます。
収穫の時点で皮が離れてしまうものは裸麦と言います。
野生の大麦は皮麦で、裸麦は後からできたものです。
大麦には色の黒いものもあります。
それらはチベットやエチオピアの標高の高いところで栽培されています。
色の黒い大麦はポリフェノールが多く含まれており、抗酸化作用があります。
また、米と同じように、麦にももち麦とうるち麦があります。
特徴
大麦はβーグルカンという水溶性食物繊維を豊かに含んでおり、お米の10倍以上の食物繊維を含んでいます。
また、抗酸化物質のポリフェノールや、ビタミン、ミネラルも豊富に含んでいます。
しかもこれらの有効成分は外皮だけでなく、胚乳にもちゃんと含まれています。
大麦の健康効果として特徴的なのは、血中コレステロールを低下させること、食後の血糖値を低下させることの2点です。
用途
麦ご飯などの食用のほか、醤油・味噌・ビールなどの原料にされます。
また、家畜のえさとして利用されています。
茎は帽子などの細工物に使うことができます。
日本では古来より、米に次ぐ主食として大切に育てられ、食されてきました。
現在は大麦は主食用としては年間約2万トンほど消費されています。
大麦は食物繊維以外の栄養も豊富
大麦は食物繊維の栄養効果が注目されますが、じつはそれ以外の栄養価も高い優れた作物です。
精白米と比較をすると、カルシウムが3倍以上、カリウムが2倍程度多く含まれ、その他のミネラル・ビタミン類も精白米に比べると多く含有しています。
昔から夏バテの防止に麦ごはんを食べる習慣が日本や韓国・中国にありましたが、体力の奪われやすい夏場の健康法として医学的な証明がされています。
大麦も米と同様に、精白したものよりも外皮が多く残った状態のものが栄養価も豊富です。
ただ、大麦は米と違って完全な精白ができないので、精白押し麦などでも残留栄養価は高く、食物繊維も精白米の数倍は含有しています。
最近では大麦の葉の部分(若葉など)の栄養素にも注目されています。
大麦の葉は抗酸化作用が高いことが確認されていて、細胞の老化を防いでくれます。
また、ビタミンやミネラルなどはほうれん草を始めとする一般的な野菜を圧倒するほどの含有量があります。
ただし、大麦の葉の食味は悪いために、食用としては普及しませんでした。
最近では「青汁」などの健康食品の原料として利用されて、知名度が高まっています。
まとめ
穀物だけではなく葉の部分の栄養価も高い大麦は、現代のスーパーフードと言えるほどの栄養価を持っています。
食生活の改善が必要な生活習慣病予備軍の方や肥満傾向にある方などには、とくにおすすめできる食材だと言えるでしょう。