数ある穀物の中でも最も歴史の古い大麦は、世界中で様々な用途で利用されています。
大麦に対して、パンの原材料として使われている小麦がありますが、これらの区別は大麦=本物という意味での"大"であり、小麦は大麦の代用品という位置づけでした。
現在ではその立場は逆転していますが、昔は栄養価の高さがその作物の価値と考えられていたことから、本来ならば非常に優れた穀物だということになります。
大麦は種類によって用途が違います。大麦の種類やその特徴、利用される食べ物などを見てましょう。
六条大麦
六条大麦は、主にお米と一緒に炊いて麦ご飯にしたり、焙煎して麦茶にしたりします。
二条大麦
二条大麦は麦ご飯のほかに主にビールや麦焼酎などお酒の原料になります。
はだか麦
はだか麦は麦ごはんのほかに麦味噌や焼酎の原料になります。
また、大麦は香煎(麦こがし)や水あめの原料にも使われます。
大麦にはグルテンがないので、大麦の粉でパンなどを焼いても膨らみません。
世界の大麦料理
大麦は世界中で食べられており、調理法も多岐にわたります。
日本では「麦ごはん」や「麦とろ」などが有名ですが、世界的には粥やスープとして調理されることが多いようです。
欧州でよく食べられる粥「リゾット」は、オート麦や大麦が使われ、サウジアラビアやカタールなどの中東諸国でもスパイスを使った粥やスープが食べられます。
ラマダン(断食月)開けに大麦を使った料理を食べる習慣があるのです。
スイスの郷土料理、ビュンドナーゲルシュテンズッペ(大麦のスープ)は、欧州での典型的な大麦の食べ方だと言えます。
海抜2000mを超える高地に住むチベットでは、大麦の一種であるはだか麦を主食とします。
これは、痩せた土地でも収穫できる大麦の生命力の高さの証明でもあります。
チベットでは大麦の料理を「ツァンバ」と呼び、はだか麦を炒って粉に挽いた、日本でいう「麦焦がし」のようなものです。
欧州・中東・西アジアでも、小麦や米の収穫が難しい地域で大麦は現在までも活躍しており、調理法は茹でるのが一般的です。
まとめ
昨今の先進国では、生活習慣病が流行世界的な問題となっています。
それに伴い民間でも健康意識が高まり、ベジタリアンやビーガン、スローフードが好まれるようになっています。
そういった健康意識の高まりと共に、先進国で食用としては利用が極めて減っていた大麦に新たにスポットがあたり、優れた栄養効果が見直されるようになっています。